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もみの木のすすめ
もみの木はどんな木?
学名をabies(アビエス)といい、ラテン語で「永遠」を意味します。
もみの木といえば、一般的にはクリスマスツリーを思い出しますが、どうして「もみの木」が使われたのでしょうか?
昔、ヨーロッパでは狩猟民族が多く、冬の寒さの厳しい時は冬ごもりをしていました。
限られた空間の中の生活ではウイルスや風土病などにより、幼児や体の弱いお年寄りが命を失っていました。
そこで体験的に知った抗菌効果に優れた「もみの木」を家の中に入れることで、
家族を守ったのがクリスマスツリーの起源といわれています。
もみの木の利用
北欧諸国では古くから、建築材料としてだけでなく、葉や枝から精製される精油は、松に似た爽やかな香りを持ち、消臭剤、入浴剤、石鹸、歯磨き剤、のど飴、風邪やリュウマチなどの治療に利用されています。
日本では世界遺産になっている姫路城の城郭や、長野諏訪大社の御柱祭り、また、腐敗・酸化防止のため、食品の保存容器などに利用されています。
ー用途例ー
神棚、祭壇、絵馬、御札、護摩木、結納台、羽子板、搭婆、位牌、ピアノ、
ヴァイオリン、すし桶、おひつ、そうめんの箱、かまぼこの台、など
弊社で扱っているもみの木は
ドイツの自然公園シュバルツバルト(黒い森)で、森林保護のため計画伐採された樹齢150年以上のもみの木です。ここのもみの木は植林ではなく、天然更新で、厳しい環境下で育っているので、生命力が違います(カナダ産もあります)。
丸太のまま海上輸送され、通関したあと、宮崎県小林市で検品、柾目(まさめ)に製材されます。
木に正しい、と書くこの柾目には、年輪に対しほぼ直角に切り出さなくてはならず、とても効率が悪いのですが、乾燥させたときの反りや歪みが少なく、何より調湿性能が高くなります。
もみの木の細胞が壊れないよう時間と手間をかけて、太陽光と「霧島落し」と呼ばれるこの地域特有の乾いた風に晒して自然乾燥した後、用途別に選別し、サイズを整え、さねや浮造り(うづくり)加工します。
主に床材となる、浮造り加工を施したもみの木は、表面積が大きくなるので、さらに調湿性能やフィトンチッドの放散量が高くなり、滑り止めと同時に、足裏へ心地よい刺激を与えてくれます。
ひび割れなどの最終チェックを通過した選りすぐりのもみの木は、工事の進捗に合わせて現場に到着し、梱包を解いてしばしその環境に馴染ませてから床や壁、天井に施工されます。
もみの木へのこだわり
もみの木の利用
私ともみの木との出会いは2005年、知り合いの社長から「もみの木はいい!」というお話を聞き、もみの木で作ったコースターをいただいたのがきっかけでした。
そして翌年、その社長の会社が建てた宿泊展示場を売却してしまうので、「見学したい方は是非!」ということになり、山口へ行きました。
そこで、実際にもみの木で建てた家と展示場を見学させていただきました。ちょうど真冬の2月のとても寒い日でしたが「もみの木の床は“座っても寒くない”というのを是非体感してください」という事になり、全員で床に座りお話を聞くことになりました。床に座ると、あっという間に自分の体温と同じ暖かさになり、本当に寒くないのです。
そして素足で歩いたう造りの床のデコボコした感じがすごく気持ち良いのです。
「これだ!」実際の家と展示場を体験した私は、もみの木の家をお客様にお薦めしたいと思うようになりました。
その後、「樅の木の会」にも参加させていただきました。そこでお会いした方達は、売上とか棟数とかばかりではなく、お客様の喜ぶ顔が大好きで家造りが大好きな人達でした。
もみの木を知れば知るほど、私はもみの木の家が好きになりました。そこで、マルサ工業の先代社長である佐藤氏に会うために鹿児島まで行き、社長のもみの木の家造りに対する思いや考えを伺い、大変共感しました。私は「自分が良いと思う物をお客様にお薦めしたい、お客様に本当の良さを伝えたい」と常々考えています。私も社員もお客様をとても大切に思っています。
2008年9月にモデルハウス1階を、更に2014年9月に打合せ室をリニューアルし、もみの木を体験できるようになりました。お客様ご自身で実際にもみの木に触れ、もみの木の良さと同時に欠点もご理解いただいた上で、選択肢の一つにしていただければと思います。
株式会社グリーンワールド代表取締役社長 中島紀美子
もみの木にこだわる理由
私はアレルギー等と縁遠く、最初は、木で健康になる・・・という事に半信半疑な部分もありました。
ところが実際に、喘息のお子様のいるご家族が、もみの木の家に住んでから検査結果が良くなったり、喘息の発作で入院することがなくなったり、という嬉しいお話を聞き、本当に喜んでくださっている様子を見て、もみの木の家の素晴らしさを感じることができました。
もみの木の家造りに携わる事が出来て良かったと思っています。
そして、毎日を安心して、末永く愛着を持って暮らせる「もみの木の家」をオススメしています。
内装材に使う理由
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からだにやさしい
適度な弾力があり、歩行時や転倒・衝突時のショックを緩和してくれます。
浮作り加工で滑りにくいので、足腰への負担が少ないです。 -
空気がおいしい
もみの木自体は微香性で、特別な匂いを意識させません。
自然乾燥で製材され細胞が壊れていないので、半永久的に放散されるフィトンチッドにより、家具等から発生する化学物質なども分解し、空気を浄化してくれます。
呼吸器系のアレルギー症状をお持ちの方からも、喘息の発作が出なくなった、などのお言葉をいただいております。 -
いやな生活臭が消える
トイレ・下駄箱・タバコなどの気になる臭いを、「フィトンチッド」の効果により吸着・分解して消臭してくれます。
夕食に焼き肉や焼き魚など匂いが残る料理をしても、翌朝から夕方には気にならない程度に。
犬や猫などペットを飼っている方にも好評です。 -
調湿機能が高い
じめじめした梅雨時や真夏の暑い日でも、ベタベタせずサラッと、冬は乾燥しすぎず、年間を通して50〜60%の湿度を保ってくれます。
クローゼットでは革鞄に付きやすいカビの発生を抑えてくれるので、除湿剤も必要ありません。 -
断熱性が高い
繊維の間に空気を含んでいて熱伝導率が小さいため、一度温まると冷えにくく、真冬に素足でも足裏に刺すような冷たさを感じません。
逆に夏はサラッとひんやり感じ、寝苦しい熱帯夜には床に直接横になるのも快適です。 -
害虫が棲みつきにくい
フィトンチッドの忌避効果と温度調整のおかげで、ダニやゴキブリが棲みつきにくく、侵入してきてもすぐに弱ることが多いです。
カビ菌類の増殖も抑えてくれるので、穀類や根菜類の保存にも適しています(葉物野菜には不向きです)。 -
光・音が柔らかくなる
無塗装または植物塗料仕上げなので、光の反射量が適当で、瞳孔の開きを一定に保ちストレスを軽減します。
音の余計な反響も抑えてくれるので、きれいな音が響き、ピアノなどの楽器を演奏する部屋や、オーディオルームにも最適です。 -
経年変化が楽しめる
床・壁・天井用は、節のない部分を厳選しているので、表情がやさしく、全体をスッキリ、ナチュラルに仕上げています。
そして年を重ねる毎に日焼けなどで色味を帯び、時折水拭きするなどお手入れをしていただければ、きれいな飴色に変化していきます。
フィトンチッド
樹木は一度その場所に育つと自ら場所を移動することができないため、
外敵から身を守るために様々な不思議な力を持っています。
そのひとつに「フィトンチッド」と呼ばれる、樹木が自ら作り出し発散する芳香成分があります。
このフィトンチッドには、昆虫や植物に葉や幹を食べられないようにするための忌避や、
病害菌に感染しないように除菌を行う作用があります。
1930年頃、旧ソ連のB.P.キートン博士が発見し、フィトン(植物が)チッド(殺す)と名付けました。
フィトンチッドが人に与える影響
他の動植物に対して攻撃的に働くフィトンチッドですが、人体に対してはむしろ有益であることが経験的に知られています。その効果は大きく分けて3つです。
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01リフレッシュ
自律神経の安定化 疲労回復
不眠症の改善 肝機能の改善 -
02消臭・脱臭
悪臭の元となる物質(アンモニアなど)や、有害物質(ニコチンやホルムアルデヒド)の中和・分解など
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03抗菌・防虫
ゴキブリなどの害虫を棲みつきにくくし、家ダニやカビ、様々な病原菌類の繁殖抑制など
フィトンチッドと樹種
一言でフィトンチッドといっても、1種類の成分を指すわけではなく、樹木が2次生成する物質の総称で、樹種ごとに、多いものでは100種類ほどあると言われます。
ただ含まれる量が微量のため、まだ知られていない物質も多いのです。
一般的には、もみの木、マツ、ひのきなどの針葉樹の方が、広葉樹より樹命が長く、その分フィトンチッドも多く含有しています。
日本では針葉樹と広葉樹が混生した森が多く、多くの生物を育みつつ、空気と水を浄化しています。